TK上津の家
    2002

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12pの角材に約30ミリの穴をあけ、ここに熱風を吹き込んで乾燥させ、さらにこの穴を使って柱に使う材に鉄筋を通し、土台と桁を緊結するという特許工法を持つメーカーの展示場として計画された。
その後住宅として用途変更し現在にいたっている。
総檜造りだが、ヒノキの冷たさは感じられない。むしろ壁の和紙を溶かして塗った白い壁とマッチして、柔らかく清々しい空間が仕上がっている。
南側が切り立った斜面という、普通なら不動産業者が手をつけないような土地だが、これを逆手にとって、斜面を緑化しこれに面してハの字型に向かい合う建物構成とした。このためどの部屋からも順光を浴びる美しい緑の斜面が目に入るという贅沢が味わえることになった。
この構成とプランニングが評価されて、2003年フォレストモア主催の「木の国日本の家デザインコンペ」で最優秀・渡邊文雄賞を獲得した。

南側斜面に向かってハの字型に開く建物構成

2層吹き抜けにガラスを用いた開放的
な玄関。
1.5メートル幅の玄関扉が豪快である。

玄関を入りリビングから和室・食堂を見る。中央の
らせん階段から2階へ。
この建物で、ファッションショーを開催したことが
あって、その折はこの階段がメインステージとなっ
た。

食堂から、居間・玄関を振り返る。ハの字に沿って空間が緩やかに連続していく構成は、日本建築の特徴を引き継いでいる

2階から見下ろした居間。クラハウスの家具と暖炉が温かくやさしい雰囲気を醸し出している。この部屋はまた音響的に優れており、建主はここにステレオセットを配置して、毎日のように音楽を楽しんている。

西日を避ける位置に開口を小さく
したAVルームを設けた。

東のコーナーの浴室は角の柱を
取り払い、露天風呂の趣を楽しめ
る作りとした

木の国日本の家デザインコンペ2003
最優秀・渡邊文雄賞受賞