TKK鹿北の家
     2006

熊本でも福岡に近い鹿北の町に、地場産の”あや杉”をふんだんに使い、「渡り腮+落
込壁工法」で建てた家。「わたりあご」とは桁の上に梁を乗せて、込み栓で止めていく、
日本古来の金物を使わない工法である。
また落込壁とは柱の間に杉のムク厚板を嵌め込む工法であるが、、いずれも現在の
建築基準法では強度が認められず、九大・熊本県立大などの協力を得て、実物によ
る耐力試験を繰り返し、総合試験場まで持ち込んでやっと実現した。
これが「ゆりかごの家」プロジェクトの第1号棟である。
平成21年、財団法人ベターリビング:地域住宅計画推進協議会主催の「地域住宅計画
賞」で作品賞を受賞。

玄関は左手の落込壁は
赤のベンガラ塗り、正面
欄間壁は白の和紙張り
で仕上げた

玄関から食堂に入ったところ。正面の大きな
ガラスで居間とテラスが繋がっている。食堂
のコードペンダントは九州事務所のオリジナ
ルで、ヤマギワから販売されている。
床、壁とも杉の厚板40ミリを使用しているが、
床はその表面を熱圧加工して使っている。こ
れは杉板にアイロンを掛けるような加工法で、
浮造りのように木目が浮き出て艶も加わり、足
触りのよい風合いが得られるので、この後の設
計でもよく使っている。

西側にある寝室から食堂、
玄関を見たところ。照明は
和紙の障子を天井に吊り
下げ、その中に蛍光灯を
仕込んでいる。
照明を建築化することで
コストダウンを図ってい

居間につながる和室。押入れ
のふすまはベンガラ色の和紙
貼り、床の間の壁は黒のベン
ガラ塗りである。目線を低く抑
えるため、左手の障子の高さ
は1.5bとした。

外装は、上部は杉板の縦張りに目板を
打ち付け、自然塗料を塗って仕上げた。
1階部分の壁は漆喰塗り、床は現代風
の叩き仕上げである。

日本伝統の田の字型プランを採用し、間仕切りをうまく使って部屋を繋いだり
仕切ったり、ライフサイクルやライフスタイルの変化に対応する融通性を生か
した。右手は末口40センチの大黒柱。

2階の子供室。吹き抜けを
介して1階と繋がる。

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大阪・総合試験場での耐力
試験風景

     平成21年度
地域住宅計画賞作品賞受賞